30女ののんびりブログ

アラサー女のなんでもない雑食ブログです。

昔の話をしたくなりまして たんぼの記憶

私の生まれ育った町は
小さな山の中の小さな町でした
海が近いわけでも、特別山深いわけでもなく
なんの面白味もない小さな町


川が一本流れていて、田舎なのに特別澄んでいてとてもきれいとかいうわけでもない
むしろ濁っていて汚かった


少し歩くと田んぼ、田んぼ、田んぼ。
夏は青々とした、秋は黄金色に染まる田んぼは
子供たちの暇つぶしの遊び場だった


カエルの卵を初めて見たときは
図鑑に載っている形そのもので少し感動した
透明のにゅるにゅるの中に黒い点々があった
それがオタマジャクシになるなんて微塵も考えずに
ただ「カエルのたまご」としてだけのそれを
小学一年生の女の子は両手でつかんでいた
同級生とわーきゃーして、飽きたら戻す


すかんぽ(すいばと呼ばれる食べられる雑草)を食べる友達を「こいつ草食ってる…」と心の中で若干引きながら
自分はそのへんの花の蜜を吸っていた




田植えするとき
今は田植え機があるが田舎町の小さな田んぼは機械ではなく
昔のように裸足で田んぼに入り手で田植えをした


今となっては機械がないのではなく、田んぼが小さすぎて機械が入らず手でやるしかなかったんだと思う
にゅるにゅるの田んぼに足を入れると水はあったかくて
泥は柔らかくて、足の指のすべての間を泥が包む
となりのトトロのワンシーンのように
大人が横一列で田植えをしていて、そこに混ざれることが
少し大人になったような、一人の人として認めてもらえたような気がして
とにかくうれしくて、楽しかった


田植えが終わった後の、土手に座って休憩する時間は
普段話なんてしないじいちゃんもばあちゃんも
おじちゃんもおばちゃんもお父さんもお母さんもとにかくみんなえがおで
なんでもない麦茶一杯がとってもおいしかった


田んぼから出ると足に黒いなめくじのようなものがいくつかついていて、
初めてそれがヒルと呼ばれるもので血を吸うことを知った


暖かい泥の感触と、泥が足の指の間に入り込むなんともいえない感触
労働の後の青い空とおいしい麦茶
そしてヒル
全部田んぼがなかったら私は知ることがなかった



秋にはたくさんのバッタやイナゴが飛んでいた
オンブバッタを見つけて意味もなくつかまえた
小学校の校庭でトンボをつかまえると、高確率で手のひらで卵を産み始めていた
なんどもトンボの産卵を小さな掌で受け止めたけど、その後の記憶が全くないので
きっと飽きてとんぼを放し、手のひらに産み落とされた卵はぱんぱんとその辺の田んぼのあぜ道や校庭に落としていたんだろうな~…
ごめんよとんぼ…  


稲刈りは鎌でザクザク切っていき、腰にまとめた藁で縛る
たくさんの稲を十字に立てた細い丸太のような木に交互に積み重ねていく
稲刈り後の田んぼには昔話の【三匹のこぶた】の藁の家のようなものが何個もできていて
じいちゃんの家での稲刈りの時、藁の家を自分が作る日が来たときは
ほんのちょっとだけうれしかった



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新米のおいしい季節ですね


大人になって運転するようになり
この時期は道路を稲刈りの耕運機?がゆっくり走っているとぐわ~!!!っと思ってしまう時もありますが笑


田んぼをやってくださる方のおかげで、農業をしていない我が家でもおいしい新米を食べることができています
農家さんありがとう!!!


新米は、まずは塩おむすびで。
二個目は漬物と一緒に。最高。